小学校 生活科 2年【大すきな生き物を育てよう】
なぎさ公園小学校 若原 万莉
小学校2年生の「ふしぎみどり」(生活科:理科)で生き物を大切に想う気持ちを育てる学習です。
低学年の子どもたちの頭の中に溢れている言葉や豊かな気づき、感覚、知っていること、考えていることを「シンキングツール」を活用することで整理できるような展開の学習を考えてみました。
https://gyazo.com/59296e94ac50bc1c42eba31e0e11e2bc
【シンキングツールの活用の仕方】
展開1:ビオトープ探検に行こう
展開2:とってきた生き物を紹介しよう
*おまけ:生き物の赤ちゃんは、「親と似た赤ちゃん」からか?「卵」からか?をベン図で分類する。(しらべよう)
展開3:育てるってどういうこと? …「育てる」ために必要な要素をウェビングマップとくまでチャートで分類・整理。
展開4:育てる環境をつくってみよう …「再現した環境」に必要な要素を項目ごとにキャンディチャートと情報分析チャートで整理・分析する。
展開5:お家の近くに住む生き物を大切にしよう …
〜 具体的な授業の流れ 〜
展開1:ビオトープ探検に行こう
ねらい:子どもたちの発言や気づきは、知っていることと好きなこと、わかったことに溢れている。子どもたち自身では、言葉と事柄の関係性ができているものの、見えづらいものが多い。そんな発達特性をもつ子どもたちの思考をつなぎ合わせる役割として、シンキングツールを活用していく。
教師が仲間分けを進める。見えづらかったものを「見える化」していくことで、さらなる子どもたちの視点の広がりを促す。
【 方法 】
①各々の気持ちや知っていることをカードに書き込む。(項目ごとにカードの色を指定しておく)
②カードを集約し、(個→全体へ)項目ごとにグルーピングをする。
〈ウェビングマップ…「知っていること」「すきなこと」を広げる・整理する。〉
https://gyazo.com/e65df3445ac457386adedd5fa89de00b https://gyazo.com/4b40ca2dde0fe5c7f4987bd4e1252850
【 子どもたちは、、、】
自分の考えを短い言葉で自由に広げ、頭の中を「見える化」できるので、シートが増えるたびに満足度が増します。
仲間分けがなされると、「生き物グループ」「住むところグループ」など、グループごとの視点に立って、さらに考えを広げることにつながります。
〈ベン図…仲間分けから、整理・比較へ。〉
https://gyazo.com/ab9733e90a2f9114ed33e80879d805c7
【 子どもたちは、、、】
仲間分けをするうちに、「重なり」に気づくはず。そこには、何がはいるのか?生き物の特徴から共通項や違いへ視点がかわっていくことを期待します。
展開2:つかまえてきた生き物を紹介しよう
ねらい:ただ採取していた生き物について知ったこと、知りたくて調べたこと、観察したことを「生き物紹介文」として記述する。記す項目を分け、さらに見る視点、調べる視点が広がるようにする。
紹介文は、国語の学習とリンクし、「作文の書き方」「観察文の書き方」を学習し、書き方指導も行う。
【 方法 】
①写真で実物のよさを見せる。
②パッと見てわかる、そのものの情報の説明と理由を明らかにする。
〈クラゲチャート…視点の明確化:「すきな生き物」「とってきた生き物」で紹介文。〉
https://gyazo.com/f72d82346fdcf692f9d73a0daf16697a
【 子どもたちは、、、】
大好きな瞬間を写真でおさめ、自分のすきなことをつたえる😊。写真は、子どもたちに生き物への「こだわり」「視点の焦点化」をはかることができる。
「かんさつ名人(国語)」での観察の仕方を実践し、五感をつかって観察する方法を身につけていけるはずです🦄
〈実物写真の地図…イメージの明確化。〉
https://gyazo.com/dcb0c5bada970d6ccd84c28ec451599d
【 子どもたちは、、、】
実際の場所のイメージが、住んでいる場所への疑問とこだわりを広げることができます。
「クラスの地図」が、「じぶんたちが見つけた生き物」への喜びにかわり、「もっとみつけてみよう!」「ほかになんの生き物があるのかな?」という新しい思考が広がります。
展開3:育てるってどういうこと?
ねらい:取ってきた生き物を育てる段階に入る。生き物を育てる視点にたち、どのようなものが必要なのか、何を準備すべきなのかを考える。
「知っていること」から「もっと、知らなければならないこと」に思考を広げていけるように、思考の整理をする。
【 方法 】
①「知っている」情報から、中核となる要素をピックアップし、そこから小さい分類を行う。
②広げた考えを、項目ごとに整理していく。
https://gyazo.com/cc4b0fb3e84d08b26ebc62637c26ca7c
〈くまでチャート…「育てる」ために必要な要素を分類・整理。〉
https://gyazo.com/8619016b38b28cf6e13df568145dc354
【 子どもたちは、、、】
生き物が住む環境、えさ、必要なことを「自分の生活」や「お世話をすること」に着目して考えを出していくはず。
項目ごとに並べて書いていくことで、それぞれの関係性に気づいていくことを期待する。
展開4:育てる環境をつくってみよう
ねらい:飼う生き物にとっての「住みやすさ」に注目し、理由づけをしながら必要な要素をさぐる。そのために、事実と根拠を明らかにしながら、「どうすれば、住みよい環境になるのか?」を段階づけて探っていく。子どもたちは、日々の生活の中で生き物のお世話をしながら、事実を見る目を養い、実践としてトライアンドエラーを繰り返せるようにする。
卵が生まれたり、成長をしたりと姿を変えていく様相を目の前で捉え、それを書き記していくことで、変化を楽しむだけでなく、それに応じた環境に目を向けていく。
【 方法 】
①お世話をしたところからの「事実」と「知っていること」をあげ、そこからアイディアを出す。
②実際のお世話をくり返し(トライアンドエラー)シートにまとめていく。
③理由づけを行い、事実と実際を比較する。
※「クラスマップ」と「その場」に行き、実際の場からの事実から根拠を探れるようにする。
〈キャンディチャート…結果の見通し・事実との比較〉
https://gyazo.com/9aadf02c89e7a1aac554230d362741b5
〈情報分析チャート…結果への道筋を描く・事実との比較〉
https://gyazo.com/d81b564f9b49ae86049f46e3e5868247 https://gyazo.com/84efb8481896f9e7ad769df52cf241e4
【 子どもたちは、、、】
生き物が住む環境、えさ、必要なことを「自分の生活」や「お世話をすること」に着目して考えを出していくはず。
アイディア豊富にいろんな要素をあげていく。それが、「事実」と「知っていること」からの道筋を描くことで、事象に対して順序を意識した考えを広げられる。
考えたことはすぐに実践し、また新しい疑問や課題を同じ学び方で追求していく。
赤ちゃんが生まれたら、「いのちのこと」「親と子の住む環境」に視点を広げることが期待できる。赤ちゃんから広がる考えは大きいはず。
https://gyazo.com/81c500456f9db0741ab4a418d9368cfc
※おまけ…赤ちゃんが生まれた時に、「卵からか?」「親と似た赤ちゃんか?」という問いもみんなで考えてみる。自由に考えを広げ、ベン図で比較してみるとおもしろい。
展開5おうちの近くに住む生き物を大切にしよう
ねらい:学校のビオトープの生き物の興味から、地域の生き物へ関心を広げていく。住んでいる場所によって見られる生き物は異なり、育ち方や住み方は異なります。その生き物に関心を持ち、学校で学んだことを生かしながら生き物を大切に思う気持ちを養う。
【 方法 】
①自分の身の回りに視点をうつし、シンキングツールを活用して、住んでいる環境へ考えを広げていく。
②シンキングツールを活用して、考えを整理する。
ここまでで、、、
低学年の子どもたちも「シンキングツール」で自分の考えをスッキリさせる経験の積み重ねを実感して欲しいと考えます。溢れてくるアイディアや考え、知っていることや好きなことが、「むすびつく」「つながる」「見える」「見えてくる」ことの実感の積み重ねを期待します。
つたえたいことを「みじかいことば」をつなぎ、「みえる」ようにして、子どもたちが考えをスッキリさせる役割を担っていける道具(シンキングツール)になっていってほしいな、、、。